プラズマ処理や化学処理により導入された格子欠陥はその母体である結晶とは大きく異なった性質を示す場合がある。Si結晶にそのような処理を加えて生じるポーラスSiが光あるいは電流励起の下で可視発光を示す現象が注目されたのはそれほど昔のことではない。この現象はSiのナノスケールの微結晶のサイズ効果あるいは微結晶の表面に生じた電子状態によるものなどと考えられてきた。このセミナーでは原子スケールのディスオーダーを有する2次元あるいは3次元格子という観点から理論的な検討を行い、次元の乱れた電子状態、例えば0.6次元あるいは1.3次元といった種々の半端な次元の電子状態の集まりで説明することを試みる。さらに高圧下の光物性と関わる理論計算の重要性や、半端な特定次元の電子状態のみを持った物質の可能性についても議論したい。