入学希望の方へ

研究内容紹介

第5話 太陽電池

環境にやさしいクリーンエネルギー 太陽光発電イメージ

 皆さんもよく知っているかと思いますが、エネルギー資源の枯渇や温暖化ガスの排出などに起因したエネルギー・環境問題が深刻化しています。皆さんが受継いだこの地球をよりよい形で後世に伝えることが私たちの義務でもあり、“低炭素社会”の構築が喫緊の課題です。低炭素社会の実現のためには、環境負荷の低いグリーンエネルギーの確保が不可欠です。無尽蔵な太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽光発電は、環境にやさしいクリーンなエネルギーとして期待と重要性がますます高まってきています。ちなみに、1時間のうちに地球上にふりそそぐ太陽エネルギーの量は、現在、地球上で消費されている総エネルギーの1年分に相当します。国が定めた太陽光発電ロードマップ・PV2030+では、2050年までに全発電量の5 - 10%程度を太陽光発電によってまかなうことが目標とされています。

太陽電池は使用する材料の種類によって、結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池ならびに化合物半導体太陽電池に大別されますが、結晶シリコン(多結晶シリコンと単結晶シリコン)太陽電池は全生産量の82%(2008年度)を占め、特に多結晶シリコン太陽電池が48%と主流になっています。多結晶とは、結晶方位の異なる多数の単結晶が集合化したもので、多結晶を構成しているそれぞれの単結晶を結晶粒、それらの境界を結晶粒界(または、粒界)とよびます。光-電気エネルギー変換効率を研究レベルで比較すると、単結晶シリコン太陽電池では約24%が達成されているのに対し、多結晶シリコン太陽電池では約19%と,変換効率の面では多結晶シリコン太陽電池は単結晶シリコン太陽電池に劣ります。しかし、多結晶シリコン太陽電池は生産コストの面で優れており、また大規模生産に適していることから、太陽光発電を広く普及させ利用拡大を図るためには、多結晶シリコン太陽電池の変換効率をさらに高めることが不可欠です。

太陽電池のエネルギー変換過程においてはいくつかのエネルギー損失要因があり、変換効率低下の原因となっています。そのうち、私たちが研究対象としている“材料”に起因する要因として、「バルク再結合損失」と「直列抵抗損失」とよばれる現象があります。太陽光が結晶表面に照射されると、光エネルギーによりマイナスの電荷をもつ電子とプラスの電荷をもつ正孔が生まれます(光励起)。p型シリコンを用いた太陽電池では、表面層のみをn型層にすることによってp-n接合を形成します。光励起で生まれた電子・正孔対はp-n接合による内部電界により互いに逆方向に移動し両端の電極間に光起電力が生じます。このとき、多結晶シリコン太陽電池においては、結晶中に含まれる多数の結晶粒界が、電子と正孔が再び結合してキャリアが失われる「バルク再結合損失」の優先的な場所として作用してしまいます。さらに結晶粒界は、ポテンシャル障壁を形成しキャリアが流れる際の抵抗となる結果、電気エネルギーがジュール熱として失われてしまうという問題も生じます(直列抵抗損失)。多結晶シリコン太陽電池の変換効率が単結晶シリコン太陽電池に比べ低い理由の主な原因がこれらの損失過程にあります。

ケルビンプローブフォース顕微鏡(KFM)による結晶粒界におけるポテンシャル障壁の定量評価

[図]ケルビンプローブフォース顕微鏡(KFM)による結晶粒界におけるポテンシャル障壁の定量評価。
[図(a,b)]ポテンシャル像、[図(c)]ポテンシャルの断面プロファイル。

ところで、結晶粒界は方位の異なる2つの結晶粒の境界であり、幾何学的な相対方位関係により結晶粒界の性格(構造)は多様に変化します。これまでの基礎的な研究により、結晶粒界には、皆さん一人一人に個性があるように,結晶粒界にも個性があり、さまざまな力学特性や機能特性が粒界の性格・構造に依存することが明らかにされてきました。したがって、多結晶シリコン中に存在する全ての結晶粒界が等しく上述したような変換効率低下の原因になるとは限りません。多結晶シリコン太陽電池の変換効率の向上のためには、粒界性格・構造と粒界の電気的特性との関連を調べ、粒界における再結合損失および直列抵抗損失の原因を物理的観点から明らかにすることが重要です。さらに、それらの知見に基づいた結晶粒界の設計・制御による多結晶シリコン基板の微細組織の最適化が不可欠であり、最適微細組織の導入のための結晶成長プロセス技術の開発も重要な課題です。

CONTENTS MENU

  • 学科長挨拶
  • アドミッションポリシー
  • 受験生向け学科紹介
  • 受験情報
  • 奨学金情報
  • 大学院紹介・院試情報
  • 大学生活
  • 卒業後の進路
  • キャンパスマップ
  • 在校生の声

入学希望の方トップへ

PAGETOP